「予防が第一、予防に勝る治療なし、出来るだけ歯を削らない、出来るだけ歯は抜かない」私の先代の父が昭和36年に歯科医院を跡継ぎしたときに決めた方針です。祖父から歯科医院を継いだ時は、世の中は虫歯だらけの状態だったと想像できます。それから約半世紀、この言葉を胸に、私は日々歯科医療に取り組んでいます。
私が治療するときの基準は「自分の子供だったらこの場合どうするだろう、私の母だったらこの治療をするだろうか、大好きな人にこの治療を勧めるだろうか」治療方針を立てる上で、困ったときは必ず心の中で立ち止まって自分に問いかけます。(仲のいい患者さんの場合は、口に出して本心をはっきり言いますが…)これを考えるとそう簡単に抜いたり削ったりできないものです。
当院の自慢は、とことん、患者様の希望をお聞きして話し合うことです。初診の方からは「こんなに話を聞いてもらったことも説明を受けたこともない」とよく言われます。来院するまでの疑問・不安・不信感・すべて取り除いてから治療に入りますからご安心ください。
まず、お悩みの内容をお聞きして、痛みがある場合は早急に取り除くことを優先します。痛みが無い場合は、体調・服用中のお薬・現在通院中の病院など、歯科医院を受診する際の必要最低限の情報を患者様からお聞きします。
ここが自慢のカウンセリングです。初診で痛みが無い場合は、30~1時間の時間をとり、本当にお話をお聞きするだけの時間です。今までの治療の疑問、これからの不安などなんでもお話ししていただいて結構です。別名「お悩み相談室」ですね。
当医院は、患者様の年齢により治療目標が変わり、10年20年先を見て治療を行います。今年来年にゴールを見据えた治療ではありませんので、お口の中全体を把握しておく必要があります。ですから、お口の中の写真撮影、全体像のレントゲン、部分的なレントゲン、上下の歯型、歯茎の状態の検査など現在のその方のお口の情報を取らせていただきます。
集めた資料をもとに、患者様へお口の中の現状説明を行い、治療計画の提案と説明を行います。この段階で、ご本人の治療の希望のゴールとお勧めの治療のすり合わせをしていきます。全部保険治療なのか、よりよい治療を希望されるのか、入れ歯かインプラントかなどです。
歯槽膿漏や、歯茎が腫れている方は、まず歯茎の炎症を抑えるために、すぐに本格的な治療にはいらず、除菌・ブラッシング指導を行い、歯茎を正常に健康にさせるところから入ります。きれいな歯茎でこそ、のちにご自分のお口に入る被せものや入れ歯の適合が素晴らしいものとなるからです。きれいな健康な歯茎になったところで治療開始です。
車を購入した後に、車検やオイル交換を受けるのと同じで、治療が終わった後は、その状態を現状維持していくことが最も大事です。ダイエットして成功したけど、過食で後戻り、もしくは増量してしまったのでは意味がありませんよね。何事も、成功した後の現状維持が難しいのです。現状維持は、ただ黙っていると後退です。知らず知らずの間に、悪くなっていきます。時間をとり定期健診に行くことで現状維持ができるのです。虫歯は、早期発見~経過観察~治療~現状維持。この流れが理想形です。